柔道の全日本強化選手でも就職活動は簡単では無かった

2021年3月11日

柔道の全日本強化選手でも就職活動は簡単では無かった

こんにちは、土井(@takeshidoi)です。

僕は、2015年にダイコロ株式会社に入社しましたが、天理大学3年生の時に内定をいただくまでに就職先が決まらなくて本当に苦労しました。
何故、就職先が決まらなかったのか?柔道家の競技による就職は可能なのか?
そんな話を今回はお話しようと思います。

おそらく世間のイメージでは“強化選手なら就職先も選び放題”なのでは?と思う方もいるかもしれませんが、現実は難しいものです。
また、他競技ではもっと難しいのが現実であり、柔道家は恵まれているなと感じることが多くあります。
ちなみに僕が就職が困難だった理由を結論から言うと、僕が73kg級だったからであり、成績を残さないと基本的に柔道で就職することは難しいと改めて感じました。

まあ、これだけでは分かりにくいため全日本強化選手でも就職を選び放題では無い!ことの理由をお話していきます。

スカウトのオファーは勿論あった

僕が行きたかった企業は某王手企業でしたが、身体が小さいということもあり就職が決まらなかった。
もちろん某王手企業の会社のスカウトはあったが「東京」に行くという選択をする必要があったため、僕の関西で練習がしたいという要望と条件が合わなかった。
今でこそやはり東京の練習環境が一番良いと感じているので、“東京が合う合わない”は勿論ありますが、結果だけ見ると関西に比べて東京が優れているというのは事実かもしれません。

スポーツ選手の条件を満たす企業を見つけるのは難しい

スポーツ選手の多くはサラリーマンであり、会社の就業規則に従う必要がある。
因みに柔道の選手に多い勤務体系は下記の3つ

  • 仕事が練習だけで良いプロのような選手
  • 仕事を半日して、練習は勤務後になる
  • 仕事を1日フルタイムで勤務した後に練習をする

このような勤務体系が柔道家の現実です。
現在、僕は【仕事が練習だけで良いプロのような選手】という雇用形態となっていますが、メリット・デメリットもあります。
メリットとしては自分の時間が多くあるため、「練習、トレーニング、身体のケア」と言ったことを重点的に行え、競技に集中することができます。
デメリットとしては“仕事が分からなくなる“ということですかね?
簡単に説明すると、スポーツしかしていないのでサラリーマンとしての能力は0近いということですね(笑)

柔道での就職は全日本強化選手だけど難しかった

理由は当時の-73kg級の全日本強化選手に強い選手が多いという点と、企業としては同じ階級に何人も選手を取る必要が無いため、就職が簡単に決まらなかった。
当時の73kg級には大野将平(旭化成)、中矢力(ALSOX)、秋本啓之(了徳寺学園)、橋本壮一(パーク24)と強豪選手が多すぎたため、僕の就職が困難になる理由となった。
※基本的に近い同年代に同階級がいると就職が難しくなる。

柔道選手が柔道で就職するために必要な成績

柔道で就職を望んでいる場合は、最低でも下記の結果があることが望ましいと僕の経験では感じました。

軽・中量級

基本的に軽量級であれば、全日本学生で最低でも3位以上であることが望ましい。
3位以上であれば、監督のコネクションが強ければ企業で柔道ができる可能性が高い。
それ以下であれば、柔道が中心の生活というよりは“仕事が中心のサークル活動”のような練習環境になる場合が多い。

重量級

最低でも全日本学生でベスト8以上・団体戦で活躍しておくことが望ましい。
軽量級とは違い社会人の団体戦で活躍できる有望な体型があれば、結果が伴っていなくても優良企業に所属できる場合がある。

※柔道は圧倒的に重量級の方が雇用は安定している。

僕が就職した会社

結果的に、僕の出身道場である土師道場の先輩が監督しているダイコロ会社の柔道部に所属させてもらえることが決まり、勤務と柔道を両立する形で雇用していただきました。
結局、僕は簡単に柔道で就職が決まったわけで無く、悩んだすえに某会社に「是非来てくれ!」と言われたのではなく、こちらからお願いする形で就職の内定をいただきました。

※一般の学生の就活は悩むのは当たり前ですが、結果のある程度ある全日本強化選手(団体戦でも活躍している)が就職先に悩むのは稀。

社会人の実業団の選手として柔道をした感想

僕は自分の意見をしっかり言うことのできる環境をのぞんでいたため、監督に思ったことを言える柔道部の環境が本当にありがたかった。
仕事自体も練習をしながらでもできる勤務であったため、就職した会社は前評判ほど大変では無いといった印象だった。

しかし、自分の実力が無いと自分の意見を言うことができないというのが、スポーツの世界であるため「自分の思いが100%」反映されるということは難しい。
また、それだけでなく会社の理解が無ければ実業団の選手は競技ができないし、部の縮小を会社に命じられれば逆らうことは基本的にできない。

※土井健史は2017年9月にダイコロ株式会社に退社している。

最後になりますが、やはり結果が全てとスポーツの世界では言われている印象が強いですが、会社としては引退後も“会社員として会社に残って仕事をしてほしい“という思いもあって、正社員として雇っているため「柔道だけしていれば良い」という環境を手にするのは難しいものですね。

最近になって、企業側の考えもよく分かるようになってきたので逆に“スポーツ選手を雇用できるのはすごいな!”と感心しています。

何はともあれ、この記事がスポーツ選手・関わる人の参考になれば嬉しいです。
コロナウイルスの影響でまた就職活動も難しい時代が訪れるかもしれませんが、頑張りましょう!
では皆さん時間を大切に、良い1日を。