柔道全日本強化選手だからこそ感じること

2021年6月7日

日の丸の柔道着

こんにちは、2017年に様々な外的要因から1度は現役から離れ、強化選手から外れましたが1年のブランクを乗り越えて2年かけて競技力を回復し、強化選手に2019年に復帰した土井(@takeshidoi)です。

特にトレーニングをしていたわけでも無く、本当に現役引退していたので柔道に復帰した時は周囲が驚いていました。
これも2018年から本格的にサポートしていただいている三重県の様々な支援者のお陰です。

因みに、僕の強化選手の経歴なのですが、ざっくりいうとこんな感じです。

2007年 全国中学校柔道大会-66kg2位によって全日本強化選手D「カデ」
2008年 全日本強化選手継続(約2年間)
2010年 沖縄インターハイ-73kg優勝によって全日本強化選手C「ジュニア」
2011年 全日本強化選手継続(約2年間)
2012年 講道館杯(全日本柔道体重別選手権大会)2位によって全日本強化選手B
2017年 1度現役引退 全日本強化選手から除外(約5年間)
2018年 現役復帰
2019年 11月講道館杯(全日本柔道体重別選手権大会)3位によって全日本強化選手B復帰
2021年 現在に至る

上記で見ると、全日本強化選手D.C.Bの合計約10年間強化選手ということですね。

僕は4歳から柔道をしていますので、現在29歳なので、柔道人生23年間のうち約12年全日本強化選手であるということになります。

こういった経験から、全日本強化選手について感じることを、僕の経験談を例にお話していきたいと思います。

初めて全日本強化選手になったのは中学3年生の時

柔道全日本強化選手だからこそ感じること その1

僕が初めて柔道の強化選手になったのは、中学3年生の時に全国中学校柔道大会で2位になったのが最初ですね!

その時に感じたことは何もない(笑)というよりはまだまだ子供で、本当に町道場の公立中学出身だから、何も意味が分かっていなかったなと今は思います。

ただ一つ感じたのは、”全日本合宿がめちゃくちゃきついな!”ということだけで、やっぱり子供だったなと今も思います。

毎日、2部錬の合宿なのに柔道着を2着しか持っていなかったり、町道場出身の自宅生なのでこの合宿で人生初めてコインランドリーに行きました。

ちなみに、その時の同期中学生の強化選手で、今(2021年)も強化選手なのは僕と「王子谷剛志」「丸山剛毅」だけ。
本当に今も現役をトップクラスで走り続けるのは難しいなと、文章にして改めて感じています。


結果的に僕は全中2位という柔道の実績を残せましたが、日本一になりたいという僕の気持ちは絶えず残っていて、この生ぬるいような環境にいてはダメだという気持ちから親元を離れ、寮生活だと思った僕は天理高校に入学しました。


天理高校生の時に柔道全日本強化選手から外れる

天理高校でも、高1までは強化選手でしたが、当時は全日本カデなども無く、インターハイで結果を残せなければ強化選手を外れます。

見事に僕は1年生、奈良県ベスト8が最高成績でしたので外れ、”終わった全中2位”と言われていました。

天理高校3年生で再び全日本強化選手に

柔道全日本強化選手だからこそ感じること その2

そこから高校2年生になり余裕が生まれたため、徐々に結果を残し始め、天理高校3年生の時にインターハイで優勝し、再び強化選手になりました。

このインターハイ優勝から徐々に国際大会に派遣してもらい、少しずつ強化選手のメリットを感じ始めました。


ちなみに、柔道競技は柔道着やユニフォーム代は実費ですが交通費・試合参加費・宿泊費・全日本合宿費用などは全日本柔道連盟が負担してくれます。

これは、柔道家や一般の方からしたら、日本代表だから当然じゃ無いの?という意見があると思いますが、他競技では全部自己負担という競技も当然あります。

半分負担、1部負担など様々ですが柔道競技は本当に恵まれていると思います。
残念なことに高校生・大学生の時に僕はそんなこと1ミリも分かっていなかったので合宿の度にきついし、嫌だなとしか思っていませんでした。

全日本強化選手でいることのメリット


今では自己負担なく、一般の方は使用できる機会は少ない東京のナショナルトレーニングセンターで合宿できることを、本当に感謝しています。

やはり当たり前にそのことがあり、与えられっぱなしというのは理解できなくなることの要因の一つであり、これは社会人になり実費で行動する組織に入らないと頭では理解できても実感できないと思います。

全日本強化選手Bになって感じること

天理大学2年生の講道館杯決勝で、リオ五輪金メダリストである大野将平先輩に敗れたこの試合で強化選手Bになります。
このジュニアとシニアの違いは何か?と聞かれると、ここはシニアになると【外国人が凄まじく強い】ということです。


昔は”2分経てば外国人は疲れる”と言いましたが、今は全く元気ですし、むしろこっちも疲れています。w
また、ベテラン選手でも最近はルール変更や医療の発展トレーニングの進化により現役が長くなった?ように僕は感じています。

そのため、更に実業団の大会はレベルが上がっていくんじゃないかな?と予想しています。

全日本強化選手Aになるのは難しい

次に、僕は強化選手Aになっていないためここを語るにふさわしくない人間ですが、言えることがあるとしたら、本当に全日本強化選手Aに上がるのは高い壁があるなと感じます。
今のランキング性のルールでは前年度から結果を出し、全日本柔道選抜体重別選手権優勝で代表になれるというわけではありません。

ランキング制のためコンスタンスに結果を出し、国内でも優勝する必要があります。

また、日本の選手はレベルアップが高く層が厚いため、1度入賞できないと国内大会で1からのやり直しになります。

引退してから分かった全日本強化選手のメリット

実際に僕は2017年に全日本強化選手の指定を外れているので何が違うのか?理解できたので簡単にお話していきます。

  • 個人で味の素ナショナルトレーニングセンターの素晴らしい施設を全日本強化選手は手続きをすれば使えるが、一般の人は基本的に使えない。
  • 所属している会社(実業団)の対応が違うし、こちらの意見も通りやすくなる。


これらは、実費で東京に合宿に行った時に差を感じました。
また、企業のことに関しては雇用のことも関係するので詳しくは言えませんが、日本を代表するメンバーの1人であるため良識があり経済的余裕のある会社ならば柔道に関して優遇してもらえると思います。
この辺りは僕が1度現役を離れ、強化選手では無かったため感じることができたのだと思います。

目標が無い人はまずは全日本強化選手を目指す

上記のように全日本強化選手でいるのといないのでは全く環境が変わります。

給料面や条件・待遇と呼ばれることも柔道の全日本強化選手とその他では圧倒的な差があります。
若い選手など、目標が分からない選手はまず全日本強化選手になることを目標にすると良いと思います。
因みに全日本強化選手を離れて分かったことはもう一つだけあって、全日本強化選手で無くても女の子にモテるかは一緒でした。(笑)

それでは皆さん時間を大切に、良い1日を。