【元柔道日本代表目線】柔道のルールがややこしい!なぜ柔道はルール変更をするのか?
こんにちは土井(@takeshidoi)です。
2021年の東京オリンピックが終わり、今は2024年パリオリンピックが開催され、角田選手、阿部一二三選手と金メダルが続いています。
さて、オリンピックがいったん落ち着くと必ずと言っていいほど柔道界にはIJF(Judo Federetion)によって“ルール改正”が行われるというのは皆さんご存知でしょうか?
僕自身、柔道の全日本強化選手として世界や国内最高峰の大会に何度も出場していることもあり、ルールの変更にはかなり敏感になっています。
また、柔道の大きなルール改正は2008年の北京五輪後から始まり、何が変わったのか?というと、タックル(両手で足を取る行為)が禁止となりました。
(※タックル=両手で足を直接取りに行って相手を倒す行為=足取り)
では、なぜ柔道はルールを変更したのか?足取りを禁止にしたのか?
これらは、“TVで初めて柔道を見た、柔道とレスリングが似ている、サンボみたいなど観客者によって他競技のように捉えられることから、柔道を観ている人が少しでも分かりやすくするためにルールの変更が行われた。”と言われています。
もちろんIJFの意向もありますが、これが最初のきっかけと言われていた記憶が僕の記憶にあり、当初は世界各地の柔道家が旧なルール改正に困惑し、現役選手はついていけない選手が多かったのが印象的でした。
ちなみにルール改正時の僕の年齢は高校2年生~3年生(2008年前後)であり、すくい投げや肩車が得意な選手だったので、上記の技が禁止になったことは僕にとって大きい変化だったと今も思います。
こういったことを踏まえて、柔道ルール変更の流れ、2022年の柔道ルール変更の内容、柔道がなぜルール変更をするのか?こういったことの理由、またこれらの変化が現在開催されているパリオリンピックにどのような影響があるのか?僕の考え方についてお話したいと思います。
2022年柔道ルール変更最新版
2021年12月30日国際柔道連盟(IJF)は2024年まで適用される新ルールを発表し、従来のルールから大きな変更があったのは下記の4点。
- めくり(動きがとまってからの押し込み)は技のポイントにならない
- 受け身(手・両肘を使っての受け身)は技ありカウント+指導は受け身を取った方に行う
- 韓国背負い投げの反則(指導)
- 内股などで頭から畳に突っ込みながら技をかける行為(通称:頭突っ込み)
※頭の側部でも反則負けに
皆さんはどう感じましたか?
僕自身が感じたことは柔道選手にとって“めくり技がポイントにならない”というのが衝撃であり、技を掛けた後には背中を着けられないように相手の返し技を耐えるというのが現役選手の常識でした。
そのため、僕らの認識ではとりあえず技をかけて少し時間が経てば、返されてもポイントにならないという認識になり、より一層柔道は攻める方が有利になるということが分かります。
ということは攻め続けて返されなければ、指導を相手に与えられるのでは?という選手が有利になるのか?果たしてそんなことはさせまいと攻撃する選手がもっと増えるのか?
柔道がもっと変わりそうですね!
どちらにしろ僕の予想ではこれからの柔道選手が有利に進めるうえで必用な能力は下記の3つだと思います。
- 受け(体幹)の強さ
- 組手の上手さ
- 相手を投げる得意技を一つ作る
まあ、こんなことは言わなくても前から大事なことでしたが、これからより一層柔道の競技力を上げていくうえで必要になってきそうですね!
2024年パリオリンピックを見て感じたルールの変化
今回のオリンピックを見て感じたのは、ルール変更により技をかけながら潰れる行為に、指導という罰則がないなという印象です。
僕が現役時代の2020年あたりは偽装攻撃はかなり厳しいルールでしたが、今の柔道を見ていると、とりあえず組み手を有利な位置を持って早く技をかけていることが優位だなと感じました。
あとは寝技の時間が長いというよりは、むしろ少し短くなったかな?という印象も受けました。
永山選手の袖車締めの誤診問題もありますが、それも含めて“待て”が早くなったなという印象です。
中学生の柔道ルールでは韓国背負いは禁止技
柔道競技の中学生の指導者の皆さんでは当たり前のことですが、皆さんは知っていましたか?
何故こんな話をするか?というと、今回IJFのルール改正により韓国背負い投げを使って相手を投げると、ポイントが入らずに技を掛けた選手に“指導”が宣告されるようですね!
柔道をあまり知らない方のために補足ですが、韓国背負い投げというのは韓国の選手がよく使う特殊な背負い投げのため付けられた名前で有名な選手で言えば東京五輪-73kg級銅メダリストの安昌林選手の得意技で有名な技です。
実際に普通の背負い投げと韓国背負い投げでは何が違うのか?というと、
背負い投げの投げる方向の反対側に相手を投げます!
そのため、身体の身を守る“受け身ができないので危険”であるため、中学生の大会では早くに禁止技となり、世界で戦う柔道の選手も禁じ技となりました。
柔道を経験している人なら分かると思うのですが、正直韓国背負い投げは受け身を取れないし、頭から落ちやすいのでめちゃくちゃ危険です。
僕らでも頭を打って痛いのは普通にありますので(笑)
韓国背負い投げを禁止にしたのはこういった現役選手の安全面を考えてだと僕は思います。
皆さんはどう感じましたか?
ルール変更により中学生の締め技が禁止?
2022年1月24日全日本柔道連盟が理事会を開き、2022年の4月1日から中学生の国内試合では締め技の禁止を決定!!
(※締め技・関節技は高校生から認められる)
となった発表を皆さんは知っていますか?
僕はこれを聞いた時は衝撃でした!!
僕の世代にこんな平和なルールがあれば、きっと中学生の時に平凡なクラブ生活を送れただろうに!となんて思っちゃいます。
まあ、どっちにしろ高校が天理高校なので北斗の拳の世紀末みたいな寮生活と練習であったので後で苦労するんですけどね。
ちなみに今の天理高校は平和で世紀末の時代を終息したようなので、皆さん安心して僕の後輩になってくださいね!
一応聞いておきますが、皆さんは中学生や高校生の時に絞められて落とされまくったとか、陰険な先輩がいたとかありませんでしたか?
柔道の過去のルール変更一覧
実は柔道過去に何度もルール変更されているというのは皆さんご存知でしょうか?
僕が知っているので簡単なことでも下記のルールがあります。
- カニばさみの禁止
- 柔道着の着丈・袖の長さ・鉄板道着の禁止
- 両手で相手の手を切ることの禁止
- 足を直接触れて(足取り)投げることの禁止
- 組み合うことを嫌がる行為の禁止
- 技のポイント有効の廃止
- 時間の変更(試合時間・抑え込み)
- GS(延長戦の廃止)
- 旗判定の廃止
- 審判の人数変更
- ビデオ判定制度
- 柔道着の乱れを直さないと指導
- 時間遅延行為の指導
数えるだけで本当にきりが無いですよ(笑)
また、昔の柔道は今よりも試合時間が長く一本の判定基準が厳しかったようですね。
僕が高校生の時は投げでの決着がつかなかったときは「本選5分+GS3分」戦ってからの旗判定だったのでめちゃくちゃきつかったですね。
昔の柔道家は10分以上試合時間があったので、めちゃくちゃ元気だし今では考えられないですね。
※今の試合時間は4分となり、技による決着を優先しており逆に指導が入らなければ無制限に試合が続く可能性もあります。
話は上記のルール変更に戻りますが、皆さんはどのルール変更が自分にとってデメリットが大きかったですか?
僕は組み合うタイプだったので柔道スタイル的には有利になりました!
ただ、両手で相手の釣り手を切ることができないので重量級と戦う時は正直しんどくなりましたね!
また、足をもっての袖釣り込み腰も禁止技となりました。
別名は、【丸山スペシャル】とも言います。
なぜ柔道はルール変更するのか?
僕が思うのは柔道選手がルール改正によってどう感じるのか?というよりは柔道を観ているお客さん、見たこと無い人がどう感じるか?といった顧客ファーストのような視線でルールを変更しているのではないかな?と思っています。
IJFのビゼール会長自身がビジネスマンであることもあり、顧客の視点から柔道を変えていこうとしているような気がします。
ただ、柔道のルールを変更したことにより過去のオリンピックより柔道の一本の数がかなり増えたというデータもありますので、“柔道=投げる”といった視点では柔道のルールを変更したのは正解です。
皆さんは柔道のルールが変更されるのについてどう思いますか?
最後に2021年も間違いなくアスリートにとって苦しい時期でしたが、2020年よりかは緩和された気がしますね。
ちなみに僕がかかわる試合は全て新型コロナウイルスの影響で中止となったので逆にすごいですね
締め:筆者の土井健史について
僕自身、柔道のオリンピック候補の選手として国際大会に出場していましたので、柔道に関してはプロとしての見解と本気でやってきた自信があります。
僕もオリンピックを夢見て努力してきた人間ですし、気がつけば引退して経営者になっておりました。
僕のことが気になる方は下記からご覧ください。
今は大阪市都島区で工務店の経営をしており、柔道の実績等につきましては下記に記載しています。
代表挨拶 | 土井工務店
私は日本代表の柔道家として世界で戦ってきました。オリンピックで金メダルを獲得するという夢を達成す ...
https://sakai-reform39.com/profile/
最後に気軽に皆さんから意見・感想をお待ちしております。
では皆さん時間を大切に、良い1日を。
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